鞄立製作所は、ウォークスルー型の爆発物探知装置と監視カメラ網を連携させ、服や手荷物から爆発物(手製爆薬)の成分が検出された人物の通行経路と現在位置をリアルタイムで追跡する技術を開発した。 当技術は、同社独自の爆発物探知装置に類似画像高速検索技術を組み合わせ、さらに、施設内の監視カメラの画像の中から、爆発物が検出された人物の画像を繰り返し検索する検索アルゴリズムを新たに開発して実現したもの。 当技術により、多くの人が利用する駅やイベント会場などにおいて、人の通行を妨げることなく、爆発物の探知と、爆発物が検出された人物をリアルタイムに追跡することが可能になった。
近年、国民の安全・安心に対する関心が高まる中、主に空港などの限られた施設で利用されていた高いレベルのセキュリティ技術を、駅やイベント会場など、不特定多数の人が集まる施設でも利用するための技術開発が進められている。
同社は、2007年から3年間、文部科学省の「安全・安心科学技術プロジェクト」に参画し、高感度の質量分析技術を応用して、服や手荷物に付着した手製爆薬の成分を探知装置通過後3秒以内に検出するウォークスルー型爆発物探知装置の開発に取り組んできた。 従来の装置では約20秒を要していた検出時間を1/6以下に短縮できることから、人の通行を妨げることなく高いセキュリティを提供する技術として期待されている。 しかし、探知結果が判明する時には、対象者は探知装置を通過し3m程度進んでいるため、多くの人が行きかう場所で人の通行を妨げることなく運用するためには、探知装置を通過した対象者を確実に追跡することが課題となっていた。
そこで、同社は、1,000万枚の画像からわずか1秒で類似画像を見つけ出す類似画像高速検索技術をウォークスルー型爆発物探知装置と組み合わせ、さらに、爆発物が検出された人物の画像をもとに、施設内に設置された多数の監視カメラ映像の中から対象者の画像を繰り返し検索する検索アルゴリズムを新たに開発して、爆発物が検出された人物をリアルタイムで追跡する技術を実現した。 探知装置を通過した人物から手製爆薬の成分が検出されると、通過時の対象者の画像をもとに、施設内の各監視カメラの画像に対して類似画像検索が繰り返し行われ、対象者の画像(類似画像)が撮影されたカメラの位置と時刻情報から、対象者の通行経路と現在位置をリアルタイムで追跡。
当技術により、多くの人が利用する駅やイベント会場などの公共施設において、人の通行を妨げることなく、爆発物の探知と、爆発物が検出された人物のリアルタイムな追跡が可能となり、高いレベルのセキュリティを実現することが期待されている。
 鞄立製作所 http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2010/12/1202a.html 2010年12月13日発信 |